赤坂インターシティAIRの開発秘話 (2017年のインタビューのアーカイブ) –大切にしているのは、庭に出て「あー今日は良かったな」と感じられるような風情や空気感–

インターシティガーデン

2022年に5周年を迎えた赤坂インターシティAIR。開発に込められた想い、憩いの庭であるインターシティガーデンのことなど、日鉄興和不動産株式会社の髙島一朗さんへのインタビュー記事(2017年)の内容を改めて掲載いたします。

Text: CHILL LOUNGE 事務局

――赤坂インターシティAIRのプロジェクトはいつ頃からスタートしたのでしょうか?

髙島一朗さん(以下、髙島) 2007年の春からですね。私含めて、当初は3人でスタートしましたね。

――かなりの長期プロジェクトでしたね。振り返ると苦労もありましたか?

髙島 楽しかった記憶しかありません(笑)。自分にとっては、人生で一番大きなプロジェクトです。10年かけての集大成は重みが違う。でも10年前とそれほど変わったところはないってことは、それほど間違ったことをしてないんじゃないかと思います。ここでは、最高にいいものが必要じゃなくて、日常的に普通にいいことが維持されることが重要なんです。イベント的にドーンと花火を上げるのは求められてないと思うんですね。

――プレイス・メイキング(場を作る)をキーワードに始まったプロジェクトですが、今までのワーディングにない商業施設をつくるにあたって、こだわったことはありますか?

髙島
 もともと、当時の社長が「並木道を通そう」と言って、道を人が往来することでプロジェクトが生きてくるという考えを持っていました。芝生の広場をつくっても、そこで何も行われなければ、一人では居づらいですよね。そうではなく、道があって木があって、もたれかけられるベンチがある。そういう場所をつくってあげた方がいいんじゃないかと。囲い込まれた城壁型ではなく、人が入ってきて、人が出て行くからつながりができる。それに対して僕らが何を用意できるかというのが要かなと思います。

赤坂インターシティAIR外観写真

――並木道を通すということは、まわりの街との関連性をつくるということですよね?

はい。われわれが200mの道をつくるのだから、これを800mにしようと。ホテルオークラ、森ビルなどに話をした結果、緑道を設けてくれるようになりました。地域連携という面では、一本道ができるというのが一番具体的でわかりやすい。道が通ると、一緒に何かしていこうというエリアマネジメントが自然にできてくるんですよね。

――並木道に沿って丘があって、店舗は、一列に並んでなくてそれぞれ独立している。商業施設としてはかなり変態的なつくりだと思うのですが、そのあたりは迷いはなかったですか?

全然ないですね。こんもりした森の中で、必要な場所に必要な店があって、それを小径で繋ぐ。引っ込んでいる店があったり、出っ張ってる店があってもいいんじゃない?という発想。丘は単純に楽しいですよね。平場だと視覚的に重なる部分が多くて面白くない。このあたりは溜池というだけあって元々起伏の多い場所だから、湾岸と違ってなじみますし。

――印象的なのが、立派な鐘です。

この場所には、時を知らせる鐘があってもいいかなと思ったんです。ヨーロッパだと教会が街の中心で、鐘の音が聞こえる範囲がコミュニティという考えがありますから。ここで過ごす人にとっても鐘が鳴ってハッと思える瞬間があるのは、すごく面白いんじゃないかなと思いました。小さい頃、お寺の鐘が聞こえたら、そろそろ家へ帰ろうとなったじゃないですか。あの感覚と同じですね。

――何よりも使い勝手や居心地の良さを大切に考えてされていますね。

いいこことがあってもイヤなことがあっても、庭に出て深呼吸したとき「あー今日は良かったな」と感じられるような風情や空気感があったらいいなというのが最大の願いなんですね。四季の彩りであったり、水の音であったり。人が往来するとこを見ながら「そんなつまんないことを考えてもしょうがないな」と思ったり。そういう場所が欲しくて、みんな休みの日に郊外へ行っては気分転換をしたりするわけですが、今の時代、そんなにオンオフを切り替えられるわけでもない。街中でクリエイトしていくためには、変化があるところに居たほうがいいじゃないですか。お仕着せではなく、自然にそう感じてもらえればいいなと思っています。



Interview with
髙島 一郎(たかしま いちろう)
日鉄興和不動産株式会社
賃貸事業本部 賃貸事業企画部 エリアマネジメント室
副室長

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